うつ病の基本症状と時間的・空間的な広がり
うつ病の基本症状はWHO{ICD}では 1 抑うつ気分 2 興味と喜びの喪失 3 易疲労性 とされており、アメリカ{DSM}では 3は無く、1と2のみとされている。私自身は基本症状は 1のみでいいと思っている。不安のない不安障害がないように、抑うつ気分のないうつ病はないと思うからである。どちらにしても基本症状のみではうつ病とは診断されない。全体で 4ないし5個以上のうつ症状を要するのである。ここでいううつ症状とは、上記の3症状のほかに 4 不眠{睡眠障害} 5 食欲不振{食欲障害 } 6 集中力困難 7 希死念慮 8 自己評価の低下 9 罪責観 10 将来に対する悲観的な考え などである。どの症状もうつ病でなくてもあらわれることがあるが、まとまって現れるのはうつ病以外にはないとされている。なおWHOでは 3と意欲の低下を同じ次元で扱っている。しかしこれは違う病態なので、別々にした方がいいと思う。また8、9、10はいずれも内省面での悲観的側面であり、ここは少しまとめた方がいいような気もする。うつ病は慢性的で2週間以上の持続性を有し、日常生活に支障をきたすほどのものであり、神経的な機能障害の広がりを呈していると推測されるが、タイプによってはその広がり方に差があるのではないだろうか。場合によってはうつ病にサブタイプがでてくる可能性もある。