100年以上前、3大精神病と言われていたものの1つで、後に精神疾患から除外されたものがある。それは何かというと、てんかんである。てんかんは脳波の発見により病態が明らかとなり、神経疾患の1つとみなされるようになった。

そして今回も同じようなことが起こりつつある。現在、WHOにおいて国際疾病分類の改訂がおこなわれているが、どうも認知症が神経疾患に完全に入ってしまうらしいのだ。認知症はアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体病、前頭側頭型認知症などに分かれ、その病態も明らかになりつつあり、CTやPETなどの画像診断が行われるようになってきている。精神科で診るよりも神経内科や脳外科で検査を受けるように変わってきているのである。未だ病気を治すという意味での治療薬はないが、これも時間の問題と言われている。

このような動きを見ていると、精神疾患の原因が分かるにつれて精神科で扱う病気が次第に減っていってしまうのではないかと危惧の念を抱いてしまう。最終的に残るのは統合失調症だけではないかという人もいるぐらいだ。何十年もしたら精神科とか精神疾患という名前すら消えてしまっているかもしれない。

湘南こころのクリニック