うつ状態は抑うつ障害と読み替えるとすごく便利です
うつ状態は病名ではないから、病名として使ってはいけないという風潮があった。そのためうつ状態=うつ病となり、本来のうつ病は大うつ病{DSM4}と呼ばれた。しかしICDでは大うつ病に相当するものはうつ病エピソードと呼ばれており、通常うつ病エピソードはうつ病と呼ばれていた。すなわち本来、区別されるべき<うつ>の2つの病態がまぜこぜになってしまった。
しかし今回、DSM5で<抑うつ障害>という訳語{病名}が用いられるようになったため、従来のうつ状態は抑うつ障害として生き返ったと思われる。すなわちうつ状態=うつ病ではなく、うつ状態=抑うつ障害になったといえる。そしてうつ病はうつ病{DSM5}になった{私は括弧はいらないと思うが}。なぜならうつ病こそが本来の我々のイメージのなかにあるうつ病だからである。
大うつ病はMajorDepressionの訳であったが、何となく違和感が強く、定着しなかった。大うつ病という言葉は多分、今後死語になると思われる。
ところで最近、患者さんに例えば「うつ病ほどひどくはない、抑うつ障害です」というような言い方をするようになってきた。患者さんもそれで案外、納得してくれている。
なお完全にうつ状態=抑うつ障害というわけではないことを付け足しておきたい。例えばストレスが明らかな原因と思われるうつ状態でうつ病には至っていない場合は抑うつ障害ではなく適応障害といわれるなどいくつか例外がありえるからである。