病気であっても病気の自覚のある人、ない人がいる。自覚がない場合、当然診断や治療が遅れがちになるのは当然である。しかし、問題はそもそも{病識がない}という場合である。症状がないので自覚がないということでなく、症状があっても自覚ができないという場合で、統合失調症に多くみとめられる。説得をして病院に連れていかれればいいが、なかなか説得に応じず難渋することも多い。説得をするうちに相手が興奮してくるので説得を続けることが一層困難となる。自傷他害など法令違反があれば警察が介入して保護し、必要に応じ病院に連れて行ってくれることもありえる。しかし、そうでないとなかなか病院に連れて行くことが困難な状況もある。そうなったらにっちもさっちもいかないのである。ひきこもりの状態になっている人のなかには一定程度そのような人がみとめられる。

大事なのは家族関係であり、うまくいっていれば理屈でなく情で動いてくれる、あるいはそうしないといけないと思わせてくれる。説得が奏効するのはそういう場合である。

朗報もある。今は薬をのめばかなり良くなる病気であり、そのため病院にかかり、薬をのむように勧めることである。様子を見てよくなる病気ではないし、話を聞いてあげてよくなる病気でもない。そして大切なことは薬を続けること、治療を続けることだ。よくなったと思って治療をやめてしまうと99%また悪化してしまうからである。

湘南こころのクリニック