タイムラグとはある現象{A}が起こり、その後一定の時間的なずれを経て、別の現象{B}が発生する時、{A}と{B}の間の時間的な差を指して使われる言葉である。

タイムラグの例としてよく言われるのが、{A}甲状腺ホルモンが異常高値となると数週間遅れてから{B}躁状態が現れるという場合である{必ずそうなるわけではないが}。薬物効果としては抗うつ薬の服用時期と効果発現時期との間にもタイムラグがあり、通常1ヶ月程度と言われる。睡眠薬や安定剤は即効性があり、薬が直接作用すると考えられるが、抗うつ薬の場合は直接的ではなく、いくつかの経路を介して間接的に作用しているものと思われる。

ちなみに感染症の場合は、空間的、地理的状況がバリアーとなってタイムラグを生じさせる。例えばインフルエンザの場合である。山奥に住んでいる人や引きこもりの人はインフルエンザにかかりづらい。また、病院に入院している患者さんや施設に入所している人は市中での流行が収まってから感染する場合が多い。これは社会的な流行のタイムラグである。

あるとき患者さんから{ダイエットをして2~3週間経つけど一向に体重が減らない}と言われたことがあるが、私はこんなふうに答えた。{僕も若いとき一生懸命ダイエットをしたことがあったけど、1ヶ月めは全く変化が無く、2ヶ月目から少しづつ減るようになり、8Kgほどダイエットできた。だから、あきらめずに続けてください。リバウンドもあったけど}と。

 

湘南こころのクリニック