漢方薬再考
私はもともと漢方薬については{あまり効かない}と思っていて、どちらかというと{出しても無駄}と馬鹿にしていた。従い臨床においても漢方薬を出すことはほとんどなかった。
ところが最近「安定剤や睡眠剤の依存性」「抗うつ薬や抗精神病薬の副作用」などがあまりに強調されるようになり、必然的に漢方薬を試す機会が増えてきている。実は直接のきっかけになったのはツムラの営業担当者の粘り強い説明とその方からわかりやすいパンフレットをいただいたからなのであるが、説明を聞いているうちに少し使ってみようかという気になったのである。
まず最初に試したのが「酸棗仁湯」で不眠症の方に、寝る前2包で飲んでいただいた。あまり効かないだろうと思っていたところ、半数以上の方が良くなり、これに気をよくして「半夏厚朴湯{不安のある方}」「加味帰脾湯{抑うつのある人}」「抑肝散{苛々がある人}」なども使っている。
依存性のある薬を飲みたくないあるいは出したくない人や昼間、眠くなると困るような人、比較的に軽症の方に向いていると思う。
漢方薬は手書きの場合、漢字がうまく書けないこと、保険薬で出す場合、適応症に気をつけることが大変ですが、副作用がほとんどないということは魅力的と思われます。