ベンゾジアゼピンの臨床的な評価について
ベンゾジアゼピンは昔は「魔法の薬」とよばれ、絶大な評価を得ていた。
しかしSSRIの登場により「ベンゾジアゼピンは習慣性があり、その使用を制限すべき」という論調に変わってきている。ベンゾジアゼピンよりいいお薬があればそれはそうであろうが、SSRIが絶対的かというとそこまではいっていないと思うのは私だけであろうか?
最近、手にした「心身医学 2019 Vol.59 no.3」に掲載されていた海外文献で「ベンゾジアゼピン:心血管疾患の管理における有用なツール」としてベンゾジアゼピンが取り上げられており次のようなことが述べられている。すなわち「ベンゾジアゼピンに対する現実的な評価が必要である。心血管患者の不安に対して低~中等量の補助的なベンゾジアゼピン使用は有用である」と結論している。
この論文では心疾患が取り上げられていたがそれだけではないであろう。ベンゾジアゼピンには即効性がある。そのためパニック障害の不安発作のときあるいはあがり症の予防の時には便利である{インデラールも使われるが}。不眠症の場合もベンゾジアゼピンは便利で有効なお薬である。依存性のない睡眠薬も最近は出ているが無効な場合もある。
私個人としては、使い方を間違えなければベンゾジアゼピンは使っても差し支えはないお薬であると考えている。ただし患者さんが乱用する恐れはゼロではなく、これが一番の問題かもしれない。