病状的にはスペクトラムであっても、病因としてはシンドロームである
スペクトラムという言葉が使われるようになってから、何か違和感を感じざるをえない気持ちが続いていた。そして色々考えているうちに、私なりには次のような結論に達した。すなわち、スペクトラムとは病状についてはあてはまるかもしれないが、病因としてはシンドロームということをやはり思いなおす必要があるということであった。統合失調症や躁うつ病については従来より、いろいろな病態が含まれる可能性が高いと言われてきた。多分自閉症についても同じであろう。スペクトラムというとただ1つというイメージを伴うが、多分病因的には1つではないであろう。もう1つ気になるのは、正常と病気の境がスペクトラムという言葉であいまいになってしまうのではないかということであった。病状的には連続性であったとしても、質的には非連続性を伴うはずである。でなければ、正常と病気の区別がつかないことになってしまう。DSMでは操作的診断基準なので例えば9つのうち5つ以上が認められればば診断するというふうになっている。ちなみにこの診断方法は決して連続的ではないのであるが。
湘南こころのクリニック