うつ病はその発症状況や発病時期あるいはその病像より様々な呼び名を有している。例えば引っ越しうつ病、昇進うつ病、荷下ろしうつ病、更年期うつ病、産後うつ病などである。ちなみに我が国で最近多いのは不適応型うつ病あるいは過重労働型うつ病であろう。

うつ病はその原因が様々であっても、うつ病としては同じものとして考えられている{いくつかのサブタイプは別として}。また一般にうつ病は神経症でもなく、精神病というわけでもないと認識されている。精神病という認識を持たれている病気はつとに統合失調症と躁うつ病であろう。しかしこれも病気に対する認識が深まるにつれて、ただの精神の病気というふうに変わっていくものと思われる。

ただここに神経症性うつ病と言われる病気がある。これは神経症的な性格の人がクヨクヨしているうちにうつ状態となり、うつ病に発展してしまうものである。何らかの誘因を持つものが多いがパーソナリティーの関与が大きいものである。大抵は長期にわたり、軽度抑うつ状態がみられ、国際基準では気分変調症に入るものが多い。

また精神病性うつ病という言葉は今でも広く使われている。あえて精神病性と名付けているのは、通常のうつ病は精神病ではないと言っていると捉えられるが、ここで精神病性と言われるのは重度のうつ病で妄想が見られるものを指している。

妄想以外の精神病性の症状には躁状態・幻覚があるが、前者は躁うつ病{双極性障害}、後者は統合失調感情障害になる。

湘南こころのクリニック