英語の略字について
略語はわかっている人同士で使う場合には大変便利である。しかしわからない人が聞くと当然であるがさっぱりわからない。{それ何}って聞きたいが{馬鹿にされないかな}と思って聞きづらいことも多い。
略語の例を挙げてみる。先ずはAD。日常生活では{助監督}と考えるのが普通であろう。ちなみに精神神経科ではADといえばアルツハイマー病である。しかしごくたまに不安障害Anxiety Disorderに使われる方もおられるので注意が必要である。
次の例を挙げてみる。SDS。精神科だとSelfrating Depression Scale{うつ性自己評価スケール}であるが、産業医の先生だと安全データシートと捉えて考えられるであろう。
医学用語で同じ略語で二通りの意味のあるものにはほかにもいろいろある。例えばMS。日常生活的にはマイクロソフトかもしれないが、医学的には多発性硬化症である。心臓疾患で僧帽弁狭窄症においてもMSと略すからやはり注意が必要である。
先日講演会を聞きに行ったところ、脳科学者の方がBMIと略されていた。資料の中にBrain Machine Interfaceと書かれていたのでわかったが、医学的にはBody Mass Indexで肥満度などをみる指標である。
このように略語は文脈の中で理解していかないととんだ間違いを起こしかねないので、便利だが厄介な存在ともいえる。