診療所が公的機関への届出・広告・掲示等で何を専門としているかを表示できるものを標榜科目とよんでいる。

代表的なものは内科・外科であるが、メンタルな領域だと精神科・神経科・心療内科となる。国が定めているものなので、勝手にメンタルヘルス科などとつけることはできない。

似たような科目で神経内科があるが、そこはパーキンソン病などの神経疾患を扱っており、精神症状ではなく主に神経学的所見をみていくところである。ただし両者にまたがるような病気があるのも事実である。てんかん・認知症・精神遅滞などは大昔は精神科・神経科で扱っていたが、今は小児科・神経内科・脳外科などで扱うことが多くなっている。

それでは心療内科という科は何をみているのか?実際にはその本来の意味とはやや異なり、うつ病や不安障害などのメンタルな病気の受け皿になっているのが実情である。精神科の医者も精神科の敷居を低くするために、あえて心療内科という看板をあげているところが多い。

この間、電話の問い合わせで「精神科と心療内科とどう違うんですか」と尋ねられた。詳しい説明をしてもむずかしくなるし、実態はこうなのかと思い「一般的に精神科は統合失調症や躁うつ病のような精神病をみるところ、心療内科はうつや不安障害などの軽い精神の失調を示す人をみるところと思われていて、そう考えるとわかりやすいんじゃない」と答えたのである。専門家がこれを聞けば「全く、まちがっているなあ」と怒られてしまうであろうが。

 

湘南こころのクリニック